岩国市 野谷の古民家リノベーション
岩国市にて古民家リノベーションを行いました。代々住み継ぐ築96年の古民家です。建物は新築当時の茅葺屋根から、50年前に小屋組みを大改修しており、現状は瓦ぶき屋根になっていました。この古民家を住み継ぐにあたり、耐震性の改善を検討されてのご相談を承りました。、打ち合わせを進めて行く中で、古民家ならではの小屋組みを現した空間や、薪ストーブの設置など、弊社の提案を快く受け入れてくださりましたことで、今回のリノベーションにおいては、建物のポテンシャルを最大限生かすことができました。耐震改修という部分におきましては、上部架構は大きな材料を使っている古民家ですが、足元は柱が石の上に乗っている状況で、コンクリート基礎を造る判断をしました。その上で、耐力壁の設置や、ロフト床とした水平構面の設置などを行い、上部構造評点を基準以上としています。断熱改修の面からは、元々無断熱の古民家に対して、床・壁・天井に断熱施工を行うことで、性能向上させておりますが、約15年前にリフォームした際のアルミサッシペアガラスは利用することにしましたので、開口部の断熱補強は部分的になりました。そのような温熱環境の中でも、薪ストーブにより、暖かい暮らしを実現しております。
今回の古民家リノベーションではかなり大規模に改修することになりましたが、残せるものを残すことで、コストを抑えることもできました。空間の見どころである大黒柱や大梁は全て既存のものです。変えられない(変える必要のない)部分は残した上、変えたほうがいいところを大胆に変更することで、大空間をつくることができました。既存の建具なども残せる部分は再利用しています。この家に思い入れのある方々は、昔の家の面影が残るほうが愛着も湧くように思います。多くの方々に関わっていただいた建物は、なるべく面影を残しながらリノベーションすることも大切なことと感じさせていただきました。このような歴史ある建物の改修を手掛けさせていただきましたことを大変感謝いたします。
・耐震性能 【既存評点】0.20 →【改修後評点】1.03
・断熱性能 【既存UA値】3.03W/㎡K → 【改修後UA値】1.65W/㎡K
薪ストーブのあるリビング空間です。古民家ならではの立派な小屋組が特徴的です。
古民家の小屋組みを全面的に表しました。積極的に使った既存の建具もいい雰囲気を出しております。
客間としての和室は大きく改修していません。畳と壁紙を新調しました。
奥につくった個室です。北側の縁側に隣接して、小上がりの畳スペースを設けています。奥の建具の先にはトイレがあります。
ダイニングキッチンと居間も繋がっています。
南側に設けた個室。既存の建具を利用しています。
洗面脱衣室。造作洗面台と、収納棚。
外観はほぼ既存のままです。玄関周りと小屋部のサッシを新しくしています。
薪ストーブ:ネスターマーティンS43 このストーブで大空間を暖めます。
ロフト空間です。立体的な空間として利用すると共に、構造補強(Jパネルによる水平構面補強)の役割もあります。
既存の外観。玄関周り以外は大きく変更ありません。
既存の居間の様子です。天井や床は一新していますが、建具は利用しています。
コンクリート基礎の施工状況です。
工事中の状況です。耐震補強・断熱補強を行っております。