宇部市古民家 2階を平屋にリノベーション
宇部市にて、築55年の木造住宅のリノベーションをご依頼いただきました。祖父の代に建てられた木造2階建て住宅は約60坪の面積があり、親子3人で暮らす住まいとしてはかなり広く、雨漏りした屋根の全面改修もご希望されていることから、2階建ての2階部分を減築し、平屋として再生する計画をご提案いたしました。
建物は木造瓦葺き土壁です。2階部分と既存の屋根瓦を撤去し、新たに屋根瓦を葺き替えしました。2階建てが平屋になることで、耐震性能的にも有利になり、基礎補強も含めて構造補強を行い耐震性能を向上させています。
南庭に面した部分をLDKに変更し、庭を眺めながら食事ができる空間をつくりました。御仏壇のある既存の和室は、広さを8帖から6帖に縮小して、リビングと続きにして一体空間として利用できるようにしています。断熱改修もしっかりと行い、広々した住まいでも快適に暮らせるように計画しています。
・断熱性能 【既存UA値】3.65W/㎡K →【改修後UA値】0.69W/㎡K
・耐震性能 【既存評点】0.32 →【改修後評点】1.83
改修前の様子です。建物東側が部分的に2階建てとなっていました。
改修後の外観。2階部分を下ろし、端正な入母屋の平屋造にリノベーションしました。玄関の庇部分もすっきりと納めています。
建物の南側はきれいなお庭が残されています。この庭を景観として取り込むように計画しました。
改修後のリビング。床はヒノキのフローリング、高くとった天井には杉板を張っています。和室と広縁は既存の建具を利用して、開放的にできるようにしつらえました。お庭が眺められるように、南面の開口部は大きく設けています。
リビングに隣接する和室は改修前の雰囲気を残すようにしました。8帖から6帖に縮小しましたが、欄間や長押などを再利用して、「大切に残す」ことを意識した和室をつくりました。
玄関にも既存の趣を多く残しています。タイルやガラスブロック、土間の石材などは改修前のものを利用しています。
改修前の内観です。床の間、欄間、障子などは手入れしてそのまま使用しています。
屋根の改修中の様子です。2階部分を解体した上で、新規に入母屋屋根を既存に合わせて制作し、新しい平屋の屋根構成をつくりました。
建物の構造的には既存の基礎が大きく損傷していました。鉄筋の錆びにより全面的にコンクリートがひび割れた状態になっていました。基礎の補強工事も行っています。
既存の基礎・土台は残したまま、新規鉄筋コンクリート基礎を制作しました。既存基礎の両側に型枠を立てて、鉄筋でつないだ上でコンクリートを打設し、一体型の大きな布基礎としています。コンクリート被り厚さも十分に確保できているため、既存の鉄筋の保護にもなっています。
基礎の補強をした上で、耐震改修を行っています。合わせて断熱改修も行い、安心で快適な住まいにリノベーションしました。